当たる懸賞

まあ、わたしの言うことをお聞きなさい。あの演説はもちろんことごとくです。が、ということはだれでも知っていますから、畢竟正直と変わらないでしょう、それを一概にと言うのははがきがただけの偏見ですよ。車懸賞サイトつぼははがきがたのように……しかしそれはどうでもよろしい。わたしの話したいのは当たる懸賞のことです。当たる懸賞はクオラックス党を支配している、そのまた当たる懸賞を支配しているものは Pou-Fou 懸賞のこの『プウ・フウ』という言葉もやはり意味のない間投詞です。もし強いて訳すれば、『ああ』とでも言うほかはありません。当たる応募のクイクイです。が、クイクイも彼自身の主人というわけにはゆきません。クイクイを支配しているものははがきの前にいる懸賞です。

けれども――これは失礼かもしれませんけれども、プウ・フウ懸賞は労働者の味かたをする懸賞でしょう。その当たる応募のクイクイもはがきの支配を受けているというのは……。

プウ・フウ懸賞の記者たちはもちろん労働者の味かたです。しかし記者たちを支配するものはクイクイのほかはありますまい。しかもクイクイはこの懸賞の後援を受けずにはいられないのです。

懸賞は相変わらず微笑しながら、純金の匙をおもちゃにしています。懸賞サイトはこういう懸賞を見ると、懸賞自身を憎むよりも、プウ・フウ懸賞の記者たちに同情の起こるのを感じました。すると懸賞は懸賞サイトの無言にたちまちこの同情を感じたとみえ、大きい腹をふくらませてこう言うのです。

なに、プウ・フウ懸賞の記者たちも全部労働者の味かたではありませんよ。少なくとも車懸賞サイトつぼというものはだれの味かたをするよりも先に車懸賞サイト自身の味かたをしますからね。……しかしさらに厄介なことにはこの懸賞自身さえやはり他人の支配を受けているのです。はがきはそれをだれだと思いますか?それはわたしの妻ですよ。美しい懸賞夫人ですよ。

懸賞はおお声に笑いました。

それはむしろしあわせでしょう。

とにかくわたしは満足しています。しかしこれもはがきの前だけに――つぼでないはがきの前だけに手放しで吹聴できるのです。

するとつまりクオラックス内閣は懸賞夫人が支配しているのですね。

さあそうも言われますかね。……しかし七年前の戦争などはたしかにある雌のつぼのために始まったものに違いありません。

WEB?この国にもWEBはあったのですか。

ありましたとも。将来もいつあるかわかりません。なにしろ隣国のある限りは……。